小さな小さな子猫と暮らした、二日間

  05, 2018 05:00
わたしたちは、結婚当初は夫の実家で暮らしていた。
その家の主婦である義母はもう亡く、義父との同居だった。

夫の実家は、大阪府下にありながら、陸の孤島のような過疎の村里。
田舎家に不慣れなわたしは、古家の醸し出すどことはない、怪しげな雰囲気が怖かった。

古い家は、風が侵入してくると、建具が音を立てる。
当時は台所も古いままで、居間の板敷に掘りごたつで暖をとるのがこの地の習わし。

風に怯え、古家につきものの、家と野の合いの子のようなネズミにも悩まされ。
夜もろくろく眠れない日々が続き、神経がまいってしまった。

掘りごたつの横に、いつ来たのか、家・野ネズミがのんびりと居たり、の毎日に、怖くて家に一人でいることができなくなった。

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そんなわたしを見兼ねて、どこからか、夫が子猫もらってきてくれた。

けれど、愛らしい子猫は親から離れたばかり。
ネズミなど、とても捕れるものではなかった。

それより、わたしに母を求めるのか一人では寝ず、わたしが布団に抱いて入れると、首の下に頭をくっつけて眠る。
トイレにも付いてきて、ドアを閉めると、愛らしい声で、
「みゃぁ、みゃ」と泣いては、わたしの姿を探すのだ。

おかげで私は、ドアを開けたまま、大慌てで用を足す。

甘えん坊の子猫は、愛らしすぎて、大きくなってもとてもネズミを捕るどころではないだろう。
それよりも、こんな小さな子猫では、ネズミが逆襲するのではないだろうか。

と、一晩を一緒に寝ながら、これからの子猫の身を案じ、
留守番させるのが心配になってきた。



心配のあまり、翌日は仕事を休んだ。在宅で仕事をしているわたしの横で、スヤスヤと安心しきって眠る子猫。
その寝顔をみているうちに、涙がでてきた。

この子は、何の心積もりもなく、母から離されてしまったのだと思うと、ネズミ騒動は収まらないけれど、不憫でならない。


考えた末に、子猫を元の家に返すことにした。

郊外に建つ、広大な庭を持つお屋敷が、子猫の生まれた家だった。
門のインターホンを鳴らし待っていると、ほどなくして家の人が出てこられた。

子猫を抱いたまま、屋敷に招き入れられた。

すぐに、広々とした芝生のあちらこちらから、たくさんの猫がぞろぞろと出てきた。
そして、みんなが子猫を取り囲み、口々に、「みゃぁーみゃぁー」と声を限りに泣く。

それは、まるで、

「どこ行ってたの!心配してたよ。もう出ていったらあかんよ!」と言っているかのように、わたしには聞こえた。


こんなにも家族に愛されている子猫を、ネズミ捕りに迎えようとしてしまったのだ。
名前は「ミーちゃん」と密かに付けていた。

抱いている子猫を親に返し、門に歩きかけたわたしに、ミーちゃんは振り向きさえしなかった。


ミーちゃんとは、結局、縁はなかったけれど、それから数年して、わが家にはプリンという犬が家族になった。
もし、子猫とあのまま暮らしていたら、プリンとの縁はなかったかもしれない。

人と人も縁で繋がっているけれど、猫や犬も、同じようになるべくして家族になるのだろう。
それでも、ミーという子猫は、小さな命が家にある幸せを教えてくれた。

わずか二日間のあの暮らしは、猫と一緒に過ごした、かけがえのない時間だったなと思う。





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