像の春子も博子も、オラウータンのさつきも、みんな死んでしまった。

  09, 2018 07:00
わたしたち家族は動物園が好きで、休日ともなると、揃って動物園にでかけていた。
その日は、久しぶりの動物園で、中学生の娘も大はしゃぎだった。


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いつものように、ライオンを見るために、北の方から回ろうとした。
あっしまった!忘れていた。
そこに行くには猿舎の前を通る。

というのも、わたしは日本猿とは相性が悪いのか、嫌われているのだ。

気付いたわたしは、自分だけ遠回りしようとした。
そのとき、猿舎の一匹がわたしを見るや否や、檻の奥の方から走り寄ってきた。
そして、わたしめがけて、牙をむき威嚇する。

その口吻は、

「何!なによ!あんた何様のつもり!」 そんなふうに言っているようだった。

しかも、その猿は、他の人間には目もくれずに一目散にわたしめがけて走って来た。

動物園では、そんなことが何度も重なる。
わたしは猿と相性が悪いとしか思えない。


ところが、同じ種のはずのオランウータンになるとまさに、相性が良い。

その同じ日の、ことだった。
威嚇し檻の金網をガタガタ揺らす、猿の剣幕に恐れをなしたわたしたちは、足早に像舎に移動した。

hiroko.jpg
( 大阪天王寺動物園の像、博子が今年の冬に死んでしまい、大阪では像を見ることはできなくなりました。)

そのコースに行くにはオランウータン舎の檻の前を通る。
檻の前を足早に通過しようとしたわたしの目の端に、一頭のオランウータンが映った。

寂しげな顔を見ると堪らずに、私もそのオランウータンを見返した。
すると、オランウータンは、わたしの元へまっすぐに駆け寄ってきたのだ。

オラウータンの名前は、さつき、という。
母親を密猟で殺されて、和歌山のスーパーで気の毒な飼育をされていた、さつき、だった。

satuki.jpg


さつきは、檻の中からわたしに向かって手を差し伸べ、ナニカを話しかけてきた。
さつきは、とても利口な個体だったのだ。

それは本当に話しかけるという動作そのもので、それを見た他の見物客からは「オーーッ!」と声があがった。
愛らしいオランウータンさつきは、そのままガラス越しに、会話を続けた。

オラウータン舎の前から動かないわたしを、他の見物者に迷惑だと、家族が促し、その場を後にしなければならない。

行かないでと訴えるかのような目をする、さつき。

その目は、不自由な暮らしは嫌だと訴えているように、わたしには思えた。
でも、子犬じゃあるまいし、ましてや年齢の高いさつきを、家に連れて行くわけにはいかない。

さつきは、もしかしたら、檻の前を通る人間みんなに、声をかけているのかも知れないけれど。
そこにたまたま、わたしと目と目があったのかもしれないけれど。


人の快・不快という感情は、本能にインプットされているらしい。
同じ猿のなかでも、猿には嫌われて、オラウータンには好かれたことが、わたしの救いだった。

人と猿は、似て非なるモノ。
人と同じように、好き嫌い、即ち快・不快の感情があるのだ、と思ったできごとだった。

天王寺動物園では、像の春子も博子も、オラウータンのさつきも、もういない。
みんな年老いて、死んでしまった。

わたしたち大阪府民は、大阪の動物園では、像やオラウータンを見ることは、もうできないかもしれない。

淋しいと思う心とは裏腹に、わたしは、さつきの目が忘れられない。
身勝手な需要があるから、密猟がはびこる。
手っ取り早くお金になるから、密猟者が暗躍する。

取り締まるあとから、密猟はなくならない。
麻薬運び人とシンジケート然り、むしろ、巧妙になっていく。


そして、被害に遭うのは、いつも、さつきなどの生き物なのだ。








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2018.06.09
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